pc8001mkII-02-1
公式パンフより。専用モニタは高くて買えなかったので、テレビにつなげて使っていました。

 生まれて初めて手にしたコンピュータはMacではなくこの「NEC PC8001mkII(マークツー)」でした。1980年代始め、世間はちょっとしたマイコン(パソコンとは呼ばれていなかった)ブームに湧いていて、関連雑誌も次々と創刊、テレビも「マイコン教室」などの番組がオンエアされていました。そんな中、デファクトスタンダードの位置を獲得していたのが「NEC PC8001」で、この「mkII」は「8001」よりグラフィック機能が強化されたバージョンアップ版です。

 当時のコンピュータにはハードディスクがありません。ではOSはどこにインストールされているかというとROMに直接格納されていたのです。電源を入れれば即OSが起動、真っ暗な画面にカーソルが点滅し、プログラム入力待ち状態になります。OSは「Microsoft N80-BASIC」。8001に搭載されていた「N-BASIC」の上位互換版です。

 さて、コンピュータを動かすにはそのプログラムを入れなければなりません。その入手方法ですが主に3通りありました。まず、マイコン雑誌などに掲載されていたプログラムリストを一文字も間違わず打ち込むことです。短いプログラムでも意外と間違いやすく、ちゃんと動くようになるまで何度もリストと画面を見比べたものです。次に家電量販店や通販などで販売されていたカセットテープに記録されたプログラムを買ってくること。でも当時のお小遣いではなかなかおいそれと買うわけにはいきませんでした。そして3つめは自分でオリジナルのプログラムを組むことです。そういえばたいそうに聞こえるかもしれませんが、当時のBASICは現在で言えば基本的なhtml程度。高校生でも理解できました。

 しかしせっせと打ち込んだプログラムも電源を落とせば消えてしまいます。となれば外部保存装置が必要なのですが、フロッピーディスクはまだまだ高価でした。そこで登場するのがカセットテープです。基本的に音楽用のそれで代用できるので、当時全盛を誇っていたポーダプルカセットオーディオ(要するに「ウォークマン」)と共用するつもりでナショナル製の録音できるタイプを購入、mkIIと接続しプログラムを音声として録音(原理はファックスと同じ)し、保存していました。

 ところで、当時私が通っていた高校は3年生になるとコンピュータの授業がありました。プログラム言語はフォートランでしたが、BASICでプログラムを組んでいた私にとって、それは難しいものではありませんでした。現にその授業の初日、配られた教科書を一読した私はそこに書いてある内容を全て理解し、私にとってのコンピュータの授業は1日で終わってしまいました。なぜなら教科書の最後は変数の処理で終わっていたからです。しかし、私がコンピュータに強いことがバレてしまうと、その一年は授業の補佐役をやらされるハメになってしまいました。英語や数学などいわゆる「五教科」の成績は散々で、落ちこぼれと思われていた私の思わぬ能力に同級生はおろか先生方も訝しがり「お前はやればできるのに」と諭されつつも「私をそうさせるのがあなたの仕事でしょ?」と捻くれたことを思っていたものです(笑)。

所有期間:1983年春~不明(いつの間にか処分されていた)