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photo:pexels

 イラストレーターの世界は以下のように大別でき、ピラミッド型のカースト構造であるとお考えください。

(1)プロ大家クラス(@数十万円〜)

 一般人にも名前や絵柄を知られているというレベル。美術館で個展を開けば大勢の集客があります。豪華な画集を出すこともできる、いわゆる「レジェンド」ですが、このクラスになると「生涯イラストレーター」は確実で、海外にもその名を知られているというレベルです。雲の上の存在ですね。

(2)プロ作家クラス(@10万円〜)

 広告のキービジュアルや、有名作家の装丁、アルバムジャケットなどを担当するレベル。「ああ、最近よく見るイラストだね」「名前は知らないけど、見覚えある」と一般人に言われます。もちろんイラスト界では有名人です。美術館まではいかなくても、集客施設のイベント会場なら個展を開け、画集も出版できます。「プロ一般クラス」のイラストレーターの多くがこのクラスを目指し、フリーランスとして独立します。ですが、流行り廃りの部分もあるので、たとえこのレベルに到達しても生涯安泰とならないのがイラストレーターの世界の厳しい現実です。

(3)プロ一般クラス(@数万円〜)

 イラストレーターとして生計を立てているレベル。クライアントは広告代理店や出版社、デザイン事務所、WEB制作会社、編集プロダクションなど。カットイラストからキービジュアルまで幅広くこなし、タッチも自由に操れます。一般に「プロのイラストレーター」と名乗っている場合、このレベル以上の方を指します。会社や事務所に所属してイラストを描き、給料で生活している方も多くいらっしゃいますが、そういう方もこのクラス(給料は20万〜30万円くらいが相場)に含まれます。この場合、イラストレーターとは名乗らず、「制作スタッフ」と呼ばれる場合が多いようです。

(4)プロ兼業クラス(@数千円〜)

 グラフィックデザイナーやWEBデザイナー、エッセイストやライターと兼業しているレベル。担当している割合で「〇〇兼イラストレーター」や「イラストレーター兼〇〇」と名乗っています。このクラス以上が「プロ」(つまり業界関係者)となりますが、グラフィックデザイナーやWEBデザイナーで、カットイラスト程度なら描ける人はそれこそ「掃いて捨てるほど」いるので、わざわざイラストレーターを名乗っていない人も多いです。

(5)アマチュア兼業クラス(@数百円〜)

 いわゆるクラウドソーシングサイトやスキル売買サイトなどで、売り上げを上げているレベル。会社員やアルバイト、パートや主婦など本業が別にあり、趣味の延長でイラストを収入の手段にしています。つまり「副業」。業界関係者でなくても参入できるので敷居が低いのはメリットですが、需要に対して供給(イラストレーターの数)が過剰なので単価はかなり低め。コストをなるべく抑えたいクライアントがイラストを安く発注したいという思惑と、イラストで小銭を稼ぎたいと考えるアマチュアがマッチングする場として、近年急拡大したのがこのクラスです。

(6)アマチュアクラス(@0円〜)

 イラストでお金を稼いでいない、稼げないレベル。初心者はもちろん、少々イラストが上手いくらいではなかなかここから抜け出せません。もちろん純粋に「趣味」としている方もいらっしゃるので、必ずしも「アマチュアクラス=画力が低い」ということではありませんので念のため。

(範囲外)同人作家クラス(@不明)

 いわゆる同人誌を売って収入を得ているイラストレーターや漫画家のこと。どういう世界なのか縁がないので皆目見当がつきませんが、ラノベやソーシャルゲーム界隈ではここからプロになるというルートがあるそうです。最近のアマチュアイラストレーターはこちらを目指す方も多いようですが、どちらにしても競争が激しいことは広告・出版・WEB系と変わらないと思います。


 以上ですが、私のことを言えば業務では(4)、プライベートでは(6)ということになります。まあ、私はイラストレーターではなく、あくまでグラフィックデザイナーですので、本業はイラストレーターに発注する側です。当然ですが発注するなら(3)以上のイラストレーターになります。単価はあくまで目安ですので参考程度でお願いいたします。「だいたいのふわっとした相場観」としてご理解ください。

 ネット上ではイラストレーター指南を標榜するサイトや記事があまた見つかりますが、そのほとんどが「一口にイラストレーターと言ってもピンキリである」という部分を意図的に(アクセスを集めたいがために?)無視し、十把一絡げで解説しています。ですので、その解説が正しく現実を反映しているとは言えず、数多くの「誤解」を生む要因になっています。また、記事を書いている本人が(5)クラスなのにイラストレーターを指南するという、トンデモサイトもよく見かけます。そういったサイトに何が書かれていようとこれが現実ですので、「これからイラストレーターを目指したい」と考える、特に若い世代にはぜひ知っておいて欲しいですね。