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数々のリムーバブルメディアの中で個人的に一番思い入れがあるのがこの「MOディスク」。現在でも読み込みに備えドライブは所有しています。photo:写真AC

 現在ではデータのやりとりは、インターネットにおけるファイル転送一択に落ち着いた感がありますが、それまでは様々な外部記録媒体(リムーバブルメディア)が現れては消えてゆきました。私が初めて使用した外部記録媒体は「カセットテープ」でしたが、それは置いといてもフロッピーディスク時代はかなり長い間続きました。

 デザイナーにとって、テキストデータぐらいしか保存できないFD(フロッピーディスク)は保存容量が少なすぎて使い勝手の悪いものでしたが(それでも文字原稿はFD支給が当たり前だった)、MOの登場はそれを覆す画期的なものでした。しかし、初期のMOは信頼性に欠け、取引先で読み込みエラーになるということも度々ありました。安定するのは640MBのディスクが登場した頃からだったと記憶しています。そのMOの対抗馬としてZipがあり、PowerMacにも標準搭載され普及を目指しましたが、アメリカでは一定のシェアを獲得したそうですが、日本ではすでにMOが市場を独占し、それを脅かす存在にはなりませんでした。私も使用しなかったですね。1990年代後半から2000年頃までがこんな状況でした。

 2000年代に入ると、CD-ROMが普及しますが、MOと容量がそんなに変わらず、コピーしてから焼くという一手間の煩わしさ、加えてメディアの初期にありがちな信頼性の欠如などから、データのやりとりはMO、保存にCD-ROMというのが一般的な使用法だったと思います。ですがこのCD-ROM、長期保存には問題があり、焼いてたった数ヶ月で読み込みできなくなるというダメっぷり。私は全ての保存データをCD-ROMからサルベージし、当時「長期保存には向かない」と言われていたHDDに保存し直したほどです。2000年代半ば頃からDVD-ROM時代がやってきます。これも保存容量が増えただけでCD-ROMと同様の問題を抱えていました。特に海外製メディアの信頼性はひどいものでした。現在は一応安定したと言われていますが、当時のトラウマもあり、海外製を忌避する傾向は現在も続いているようです。

 2010年代くらいからUSBメモリが普及し、一気に大容量化。データエラーも少ないことからありとあらゆる局面で使用されるようになりました。その反面、確かに使い勝手は良かったですが、使い勝手が良すぎて大量の個人情報の流出などの事件を引き起こしました。BD-R(ブルーレイディスク)は主に録画用で、記録媒体としては普及しなかったのではないでしょうか(映像業界では使われているかも)。少なくとも私はデータの受け渡しでBD-Rを渡されたことは一度もありません。

 そして現在、インターネットの高速化に伴い、ファイル転送サービスが定着した結果、こういったリムーバブルメディアが使用される機会は激減し、データのやり取りはファイル転送で、保存は信頼性の向上したHDDというのが一般的だと思います。私も外付けのDVDドライブとMOドライブを所有していますが、MOドライブはもう何年も使用していません。私は過去にコピーし終わった大量のFD、MO、CD-ROM、DVD-ROMを処分したことがあります。全てのディスクをケースから取り出し、物理的に破壊してから処分しましたが、それはそのメディアの時代の終焉を告げる「儀式」みたいなものでした。ゴミ袋に溜まってゆくそれらディスクの残骸に、そのディスク購入にかかった費用に思いを馳せつつ、一抹の寂しさ、虚しさを覚えたものです。