87431c69
ネットにある画像をそのまま印刷に使う行為がいかに無謀であるか、これをよく読んで理解しておいて欲しい(特に企業の広報担当者さん、常識ですよ!)




 どのペイント系アプリで絵を描くにしても、キャンバスサイズとして推奨されているのは「A4サイズ(210×297mm)・画像解像度350dpi」が標準となっているようです。A4サイズというのは現在最も普及しているプリンタがA4サイズ対応機種であるためであろうことは想像できますが、この「画像解像度350dpi」という数値に何の意味があるのか疑問に思う方も多いかと思います。これからそれを解説いたします。

 まず、「画像解像度350dpi」の「dpi」ですがこれは「1インチ四方の正方形の中にあるピクセル(ドット)数」という意味になります。当然数値が高ければ高いほど解像度は高くなりますが、注意しなければならないのは「解像度」と「キャンバスサイズ」はお互いに連携し合っているという点です。例えば縦横1インチ(25.4mm)サイズの画像で解像度が350dpiであれば、キャンバスサイズは当然縦横1インチ(25.4mm)になりますが、同じファイルを画像解像度72dpiに設定すると画像サイズは350÷72×25.4で約123.5mmになります。

 次になぜこの350dpiという数値が設定されているか?という点です。これは印刷工程がデジタル化される前、アナログ印刷の時代に遡ります。

 アナログで印刷が行われていた当時、印刷する写真を製版分解(印刷するポジフィルムをCMYKの4つの版に分解すること)する際の解像度をあわらす単位は「線数(スクリーン線数)」でした(これは現在もそうです)。印刷された写真をルーペで拡大すると網のような点の集合体であることがわかると思います。当然この網点(あみてん)が細ければ細いほど高精細な印刷ができるのですが、日本ではかなり長い間この網点の解像度は175線(175lpi/175 line per inch)という線数が標準とされていました。1990年代に入って印刷工程がデジタル化された際もそれは踏襲されたのですが、この「175線」に対して最も適したデジタル画像の解像度が線数の2倍である350dpiだ、と設定されました。つまりあらかじめ決まっていた出力側の数値(紙などに印刷された画像の網点の解像度)に合わせて入力側の数値(入稿画像の解像度)が決定されたのです。

 ちなみに海外の印刷では線数は150lpiが標準です。ですので、入力側の画像解像度はその倍、300dpiになります。海外の雑誌などを見て「やけに画像が荒いな」と感じた経験のある方も多いかと思いますが、それは標準となる印刷の線数の違いから来るものです。

 さて、ここまで説明すればもうおわかりかと思いますが、絵を描く際に標準とされたキャンバスサイズ「A4サイズ・画像解像度350dpi」は「A4サイズで商業印刷されることを想定したサイズ」ということになります。当然商業印刷などされる可能性のないイラストを描くのであれば、もっと解像度を低く設定できます。PCやスマホの画面で見るだけなら原寸で72dpiあればOKですし、自宅のプリンタで印刷するだけなら150dpiあればキレイにプリントできます。

 でも、ひょっとしたらそのイラストを同人誌などで印刷するという機会が訪れるかもしれません。解像度は下げることはできても上げることはできません(できるが画像が荒れて印刷に堪えられない)ので、その可能性を考えて「画像解像度350dpi」という数値が設定されているのです。