e4b8ba99
なぜ突然『マクロス』の話なのかというと、なんとなく適当に描いたこの画がまさしく美樹本晴彦風なのに驚いたからです(笑)。確かに氏のキャラデザインは可愛かったので高校生当時に模写しましたが、キャラ自体は好きじゃなかったので影響はないと思っていたんですけどね。「三つ子の魂百まで」というやつでしょうか(笑)?




 手塚治虫の『鉄腕アトム』以来、ローティーン(小学生)向けと考えられてきたアニメですが、ミドルティーン(中高生)やハイティーン(大学生)の鑑賞にも耐えうるものだ、と初めて示したアニメは、『海のトリトン』だと言えると思います。この『トリトン』の放映は1972年4月、監督は後に『ガンダム』や『イデオン』で「皆殺しの富野」と呼ばれるようになる富野由悠季氏。プロデューサーは『宇宙戦艦ヤマト』の西崎義展氏。原作者の手塚はあまり乗り気でなかったのか、アニメ化に関しては一切をスタッフにお任せしていたそうです。

 その『トリトン』、おおよそ子供向けとは思えない大どんでん返しのラストが話題になり、アニメにハマるティーンが続出。主人公のトリトンを担当した声優の塩屋翼氏もアイドル扱いされ、世の中に初めて「アニメファン(後のヲタク)」「声優ファン(後の声ヲタ)」が登場した記念すべき作品です。1972年当時の中・高・大学生といえば昭和30年代生まれ。学生運動にハマった団塊の世代の下の世代で、俗に「シラケ世代」といわれる人たちです(団塊の世代がアニメに無理解なのは『トリトン』の頃は既に大人だったというのが大きな理由だと思います)。その後、ミドル〜ハイティーン向けアニメは『宇宙戦艦ヤマト』『機動戦士ガンダム』に引き継がれ、1980年代には毎日夕方5時頃から夜9時頃までの全局をアニメ番組が占拠するという一大ブームを巻き起こします。

 そんな1982年にこの『超時空要塞マクロス』は登場しました。残念ながらTV版は志の高さは垣間見えたものの、肝心の作画が破綻してしまい、不完全燃焼に終わってしまいました。その鬱憤を晴らすかのように、当時としては基地外じみた(この表現しか見当たらない)枚数と描きこみを敢行、圧倒的なクオリティの劇場版『超時空要塞マクロス〜愛・おぼえていますか』を制作、1984年に公開されました。私も当然映画館に足を運び、その映像に酔いしれた一人です。しかし、私はこのストーリーにハマることができませんでした。どうしても私の感情移入を阻害する「何か」がそこに存在したからです。

 『トリトン』から『ガンダム』まで、その中心にいた富野氏やその世代に影響を与えていたのは主に映画でした。当時のアニメには古今東西の名作映画の引用が数多く見られます。話数の多かった『ルパン三世(セカンドシリーズ)』などは映画(洋画)ネタだらけです。『うる星やつら』の押井氏にも映画ネタは数多く登場します。『あしたのジョー2』の透過光や画面を斜めに横切るシャドウの入れ方などは映画そのものです。映画ファンでもあった私はストーリーの起承転結から世界観構築、キャラのセリフ回しや様々なアクション、カット割りや回り込みに代表される動くカメラアングルなど、「映画」の方法論で語られるアニメに夢中になったのです。しかし『マクロス』にはそういった要素よりも、「制作者が今一番観たいアニメ」というコンセプトが貫かれていました。その制作者とは『トリトン』世代、つまり昭和30年代生まれで『トリトン』をきっかけにアニメファンになった人たちです。つまり『マクロス』は史上初めて「アニメファンが作ったアニメ」と言えるでしょう。しかも彼らはアイドルファンでもありました。アニメファン独特の閉鎖的な内輪ノリと、アイドルファン独特の異様な恍惚感に彩られた「SFロボットアイドルアニメ」を、私は「すごい」とは思いつつも「面白い」とは思えなかったのです。

 その後アニメはより「アニメファン向け」の色彩を強くして行きました。私はこの頃からアニメを見なくなりました(それでもジブリ作品と『エヴァ』は見ましたが)が、これは私だけでなく、私の同世代のほとんどはアニメから離れていったようです。この『マクロス』というアニメは、当時誰もが普通に見ていた「アニメ」というメディアから一般人を遠ざける一因になったような気がします(逆にそれまでアニメ縁のなかったアイドルファンを強力に惹きつけることになりました。ミンメイの声を担当した飯島真理さんが疲弊するほどに)。それに1988年に起こった宮崎勤事件の影響も大きかったでしょう。1990年代に「ヲタク」という呼称が一般化する頃には「一種独特の嗜好と思考を持つ異様な集団」として面白おかしくメディアに取り上げられるという有様でした。

 現在も深夜アニメに代表されるようにTVアニメは「アニメファン(ヲタク)」向けに作られ続けています。当時傍流であった「アニメファン向けアニメ」が主流になり、主流であった「映画(映像)ファンが作ったアニメ」は劇場用アニメへと追いやられてしまいました。現在のオールドアニメファン(トリトン〜ガンダム世代)が、今のアニメを見もしないで否定するのは「しょせんヲタク向きでしょ?」という先入観(だが、あながち的外れでもない)によるものです。それまで一般人が見ていた「アニメ」をヲタクが見る「アニメ」へと変える、その分岐点となったのが『超時空要塞マクロス〜愛・おぼえていますか』だと思っています。そして後世に与えたその功(現在の深夜アニメの源流を作った)と罪(一般的なアニメ視聴者のアニメ離れを促した)の影響は非常に大きかったのではないでしょうか。

 ところで現在『マクロスΔ』がOA中ですが、評判はどうなんでしょうね? 私は『マクロスF』は全話見ましたがあんまり・・・でした。ただ挿入歌の『星間飛行』はそのあまりにも1980年代歌謡曲風味に一発で気に入ってしまい、思わずギターで耳コピしてしまいましたが(笑)。


【ブログランキング参加中!】 にほんブログ村 イラストブログ 萌え絵(ノンアダルト)へ  




〈PR〉
〈PR〉

〈PR〉
〈PR〉