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PCやプロ用のソフトウェアを扱えるスキルは当然として、仕事のできる人は自分の専門以外の分野にも長けている場合が多い。「私はこれだけをしていれば良い(後は知らない)」という時代はもうとっくに終わっている。(写真提供:FreeBackPhoto




 私は日常的に印刷会社やweb業者への入稿業務を行っています。その経験から「プロのイラストレーターを目指すなら最低限知っておかなかればならない知識」をコラムでご紹介したいと思います。今回はその26回目「発注者に「私でもできる」と思われたらプロ失格である、という心得」です。

 最近ある広告代理店の営業さんから「デザインの仕上がりが悪いので、岩沙さんにデザインのやり直しをお願いしたい」というオファーがありました。スケジュールが逼迫したり、担当デザイナーが病気やケガ、身内の不幸や謎の逃亡(笑)などでヘルプを頼まれることはあるのですが、「仕上がりが悪い」というのは割とレアケースです。私は「それまでの作業代をそのデザイナーに支払う」「そのデザイナーに私の名前を教えない(逆恨みされる場合があるので)」を条件に引き受けることにしました。その後、その仕事は無事に入稿・納品までたどり着いたのですが、同じ営業さんから、別の仕事の打ち合わせをしている際、その営業さんに「いやーこの間は助かりましたよ。一時はどうなるかと。まあ、あんなのだったら私でもできますからねー」と言われたのです。

 「私でもできる」。これは、デザイナーに限らず、何かの専門を職業としている「プロ」にとって死刑宣告とも言える言葉です。デザイナー、イラストレーター、カメラマン、コピーライター、プランナー、コーディネーター・・・。広告業界には多くの専門家が存在しますが、業界で実際に広告制作に携わっている人は、その専門以外でも高いスキルを持っている場合が多いです。写真の上手いコピーライター、コピーも書けるプランナー、企画書を書ける営業、そしてイラストも描けるデザイナー。こういった「ある業務の専門だけど、それに関連性が高い業務も高いレベルでアウトプットできる人」は業界では当たり前に存在しますし、むしろ複数の業務の兼務が常態化した今の時代では「その程度のスキルは持っていて当然」と言っていいでしょう。

 そんな「プロ」な方々の名刺にはメインの業務の肩書きしか記載されていません。営業さんなら「営業」、デザイナーなら「グラフィックデザイナー」といった具合です。なぜ「営業兼プランナー」「グラフィックデザイナー兼イラストレーター」と名乗らないかというと本業以外の業務を押し付けられるのが嫌だから(笑)です。本業だけで手一杯なのに、それプラス別の業務まで押し付けられたくない・・・そんな理由から積極的には開示していないだけなのです(積極的に別業務を受注したい場合はもちろん名乗りますが)。

 今回、その営業さんはデザイナー経験者(営業兼ディレクターという方)だったので「私にもできる」発言に至りました。そして私も業務上ではイラストレーターとは名乗っておらず、あくまでグラフィックデザイナーという肩書きです。その私でもこのブログに掲載している程度のイラストなら描けてしまいます。そしてこのレベルの(イラストレーターと名乗っていない)デザイナーは業界にはそれこそ「掃いて捨てるほど」います。もしあなたが「プロ(専業)のイラストレーター」を目指しているのなら、最低でも「肩書きに記載されていない兼業レベルをはるかに超える」レベルでないと「プロ(専業)」としてやっていけない、いけるはずがないと理解してください。もしそれと同等か、それ以下だと、あなたがイラストを見せた業界関係者にこう思われるからです。

「こんなのだったら私でもできる」

専門家を目指しているあなたが、専門外の人にこう思われた時点で、あなたに業務を発注する理由は無くなります。「これは私にはできない!」となって初めて業務発注の可能性が生まれるのです。受注したイラストの仕事が「誰でも描けるイラスト」のレベルなら、あなたに頼むまでもなく、例えば隣の席に座っているイラストの得意なデザイナーのA子ちゃんに頼めば事足ります。私を含む業界関係者に「これは私にはできない!」と思わせられるイラストを描けるようになってから「イラストレーター」を名乗るべきだし、そうなれるよう日々のレベルアップを心がけてください。(アマチュアがプライベートで名乗る分には自由にしていただいて結構です。私もそうしてます。笑)

 以上です。


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