c6211b24-s
当日セミナーで配られたチラシ。こんなお手盛り感満載のチラシを配られてもなあ・・・(苦笑)というのが正直なところ。導入の決定的な要因は普及率であるのは明白なのに、「東京」で開催されたセミナーに「新潟」の数字を出してきた時点でお里が知れました。まあ、そういう会社です、Adobeって。




 この記事でもお知らせした通り、2017年5月18日の午後4時から東京駅日本橋口すぐのステーションコンファレンス東京で開催された、Adobe Creative Cloud セミナー『もう乗り遅れてる!?ベテランデザイナーなら押さえるべき作業データ移行の準備』に参加してきました。

 まず冒頭で「ここでお配りをしたチラシを東京駅で捨てないでください。私たちも東京駅を利用するのでそれを見ると悲しい」とのお言葉が・・・(笑)。まあ、その行為はあまり上品と言えないにしても、そうなってしまう現実を少しは真摯に受け止めなさい、とは言いたいですね。Adobeのやり口は傲慢で独善的です。今回のセミナーもユーザー目線ではなく、「Adobeのやり方にクリエーターの方が合わせなさい」的な上から目線をヒシヒシ感じました。

 さて、肝心の内容ですが、3つのセッションがありました。


(1)デスクトップアプリケーションの強化ポイント

(2)バージョンの違いによるファイルの互換性

(3)Illustrator CCの新しい機能



(1)については「ここをご覧ください」とのことでした(笑)。イラレの新機能についても説明がありましたが、このセッションではどちらかというとPhotoshopがメインでした。

(2)についても「こちらこちらをご覧ください」とのことでした(笑)。テキストの互換性についてはCS3以降なら高い互換性が保たれているそうですが、基本的に入稿の際はトラブル回避のため「テキストのアウトライン化」が常識です。アートワークの互換性に関しては「基本的に同一バージョンでの作業を推奨」とのことですが、「それはCS3以降の全バージョンを揃えなさい」と言っているのと同義です。もちろんそんなことは不可能ですが、現実を知らないAdobeはすぐこういうことをのたまいます。後者のPDFの最後のページに互換性の一覧表がありますのでそちらを参照してください。この表を見ればいかにAdobeが現場に混乱を撒き散らしてきたかを実感できますので(笑)。

(3)で説明があったのは「自動保存機能」「ファイル収集機能」「白のオーバープリントの破棄機能」の3つですが、どれももうとっくに実装されていなければならない機能ばかりです。特にファイル収集機能。CS6まではスクリプトファイルとして「Collect For Output」を同梱・配布していましたが、CCでやっと公式な機能としてアプリケーション本体に搭載されました。遅きに失した感がアリアリですが、CS6以前のユーザーはCollect For Outputを使っても同じことができます(フォント収集やレポートの書き出しはできない)ので、CCのメリットとしては弱いですね。もちろんセミナーではCollect For Outputについては一切触れられませんでしたが(爆)。

 あとは、クラウドスペースの利用によるグループワークの効率化、Adobe Stockというフォトストックサービスの紹介がありました。前者は修正作業の自動化(例えば、ロゴが修正されるとそれが全ての作業ファイルに反映される)による効率化をメリットとして挙げていましたが、自分の伺い知れない所で勝手に作業ファイルが更新されることほど恐ろしいことはありません。その自動化によってミスが発生した際、Adobeが責任とってくれるのでしょうか? 修正は修正内容を把握・理解し、よく確認した上で人間がやるべきものです。トラブルの種になるこんな恐ろしい機能は使わないでおくに限ります。Adobe Stockは以前から知っていますが、海外向けのため使える写真が少ないですね。センスもいかにもアメリカン(笑)なものばかり。あまり魅力は感じません。

 というわけで、あまり大して役に立たないセミナーでしたが、相変わらず自分都合を優先させるAdobeの社風を肌で感じることができたのは収穫でした(皮肉です。笑)。フォトストックサービスにしてもクラウドサービスにしても、Adobeのものより安価で使いやすいものがたくさん提供されていますので、その線からCCの優位性をプレゼンしても全く説得力がないですね。CCを導入するか否かの最大の判断材料はCCの普及率が鍵ですが、セミナーでは「新潟の印刷会社では64%」という謎の数字を紹介していました。なぜ新潟か(印刷会社の絶対数が多い東京ではパーセンテージが下がるため?)、導入レベルの規模(100%移行しているか、テスト導入か)などの詳細については一切説明がありませんでした。ユーザーと真摯に向き合いたのなら、都合のいい数字ではなく実際の数字とその詳細を公表すべきでしょう。こういった「情報のコントロール」は広告の世界では常套手段ですが、それをその広告を作っているプロに向けて堂々と、しかも臆面もなくやるのがこの会社のすごいところです(笑)。

 まあ、わたし個人の実感としては「大手は全体導入、一部でテスト導入や部分導入は進んでいるが、全体としてはCCへの移行は道半ば。全体移行にはあと数年はかかりそう」というものです。でも、今年に入って支給データがCCの場合も増えてはきているので、そろそろ一旦中断している(支払いを止めている)CCの導入を再度考えなきゃいけない時期にはきているようです。

2017年7月25日追記:このセミナー、申込み時は『【べテランデザイナーに贈る】早さと質を担保しながら、安心安全な制作環境を維持する方法とは?』という、いかにも現環境(CS環境)維持に有益な情報が聞けるかのようなタイトルで誘い出しておいて、実際はそんな話は一切しないで、CC移行へのメリットばかり打ち出すばかりの、まあ「詐欺まがい」なセミナーだったことは申し上げておきます。