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「社員(サラリーマン)という響きに敬遠する人も多いかもしれませんが、職場環境はかなり自由な雰囲気のところが多い。ただあまりの過酷さに辞める人も多数。順応する人・しない人の差も激しい。(写真提供:FreeBackPhoto




 あまり存在は知られていませんが、世の中にはかなりの割合で「社員イラストレーター」という職業(というか肩書きですね)が存在します。現在、100均からロフト、ハンズ、サンリオ、ディズニーなど、キャラクターグッズやファンシーイラストグッズが大量に溢れかえっています。それらの多くには「(c)●●株式会社」というクレジットがされていると思いますが、それは「このイラストの著作権はこの会社が所有している」という意味です。ですが、もちろん会社がイラストを描いたわけではありません。その会社に所属する社員イラストレーター(もしくはその会社から業務を委託された外注イラストレーター)が描いたのです。こういった会社には「制作室(名称はさまざま)」という部署があり、そこにはデザイナーやイラストレーター、プランナーなどが社員として常駐しています。そこにイラストレーターとして雇用されれば、立派に「イラストレーターとしてデビュー」できるのです。

 もちろん社員である以上、立場は会社員であり、サラリーマンです。会社の方針に従い、業務としてイラスト制作をこなさなければなりません。「自分の個性を生かしたイラストを好き勝手に描く」なんてことは不可能です(その個性が認められ、それに合わせた商品開発がされる、という可能性はなきにしもあらずですが)。その社員の名前が表に出ることは(基本的には)ありません(出版関係はクレジットさせる場合が多い)。しかし「イラストを描くことで食べていく」という目標は達成されることになります。それに実力があればそこから独立して個人で業務を請け負う、つまりフリーランスへの道がひらけます。業界に所属しているわけですから、業界のコネクションは常に身近に存在します。pixivに投稿しているだけの、夢見るフリーターよりはるかに現実的で堅実な道です。

 アニメ『NEW GAME!』で描かれたのはゲームの世界ですが、主人公の青葉も「社員イラストレーター(グラフィッカー/キャラクターデザイナー)」という立場です。他には広告デザイン事務所や広告代理店、印刷関連会社に所属するイラストレーターです。これらもやはり社員イラストレーターですが、広告・デザイン業界の場合、グラフィックデザイナーやDTPオペレーターと兼ねる場合が多いようです。またイラストレーター事務所というのも存在します。複数のイラストレーターが社員として業務を行なっている事務所です。そこに所属していればやはり「社員イラストレーター」になります。では社員イラストレーターになるにはどうすればいいかといえば、各種専門学校(求人斡旋を行なっているのが条件)や美術系大学を経るのが一般的ですが、まれにバイト採用で認められ社員登用、自ら営業しておしかけ女房的に無理やり社員にしてもらう、なんてこともあるそうです。就業年齢は若ければ若いほど有利(前述の『NEW GAME!』の青葉は高卒で入社)で、30歳の足音が聞こえてしまうと業界未経験者の就業はほぼ不可能と考えていいでしょう。

 では、社員イラストレーターのメリットとデメリットを列挙したいと思います。

●メリット

・イラストレーターになれる敷居は比較的低い
・業界で揉まれるので経験やスキルが早く身につく
・雇用形態が社員のなので、給与面・福利厚生面など生活が安定する
・いわゆる「業界人」なので、コネや人脈を築きやすい
・地味な仕事も多いが、イラストレーターとしてわりあい長く仕事ができる
・経験を積めばフリーランスとして独立するチャンスもある
・女性の場合、寿退社した後でも継続してフリーランスで仕事を受注するチャンスがある
・その場合、プロ(外注制作スタッフ)として扱われ、プロとしてのギャランティが支払われる。

●デメリット

・全てにおいて業務命令が優先され、自分の個性を発揮できない
・仕様、要望、予算、スケジュールなど厳しい条件下の仕事になる
・絵だけ描いていればいいいというわけではなく、打ち合わせやアイデア会議などもあるので、専門知識や発想の豊かさなど、いわゆるコミュニケーションスキルが必要になる。
・深夜残業、徹夜、休日出勤などいわゆる「ブラック企業」の場合が多い
・30代になると、制作現場から管理職や営業職に回されるケースがある
・中小企業が多いので、倒産・解散の危機は常にある
・ストレスも多く、精神面・肉体面で疲弊しやすい
・名前が表に出ることは(ほとんど)ないので有名になることは極めてまれ

 イラストレーターになりたいと夢見る人は、サラリーマンにはならずに初めから個人でイラストレーターとして働きたいと考える人が多いかと思います。中にはそういう才能や環境に恵まれた方もいらっしゃいますが、それには「イラストレーター」ではなく「イラストレーター作家」を実務経験もなく飛び級で目指すしかありません。作家になるにはいくつも賞を獲得し、大手クライアントの広告のメインビジュアルに採用されるなどの実績も必要です。社員イラストレーターから作家イラストレーターへ昇格する人も多いので、その点からもまずは社員イラストレーターで実務経験を積む、という方が現実的ですし、そうやって作家イラストレーターになった方も数多いです。

 今、ここをご覧になっているイラストレーターを夢見る人で、上にあげた社員イラストレーターのメリット・デメリットと、自分の作品のレベルを客観的に判断し、熟考の上どのレベルのイラストレーターを目指す判断してください。


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