dab614fa
可愛い画や萌え絵は描きたいけど、それが他人にとって「シズル感のある画」になっているかどうかはちょっとわからない。でも、少なくとも作者である自分自身が、自分で描いた画にシズル感を感じないとお話にならない。「自分が描いてて萌える画」これが萌え絵師へのスタート地点だと思っています。




 こんな画を描いておきながら言うのもなんですが、私自身は特に萌え好きというわけではありません。それ以前に「萌え」とは一体何なのか、おそらくよくわかっていないような気さえします(だからこのカテゴリーで一生懸命考察しています)。理由は「萌え」という言葉と概念が一般化しつつあった1990年代から2000年代(一般レベルではおそらく『エヴァ』と『ネット』が普及させ『ハルヒ』の頃定着した)は全くアニメに興味がなく、2010年代に入ってやっとぼちぼち観始めた程度だからです。それでもアニメ全盛期の1980年代を過ごしてきた者として、ある程度の見識はあるつもりです。『ヤマト』の森雪や『ガンダム』のセイラさんには恋していたわけですし、『ルパン三世・カリオストロの城』のヒロイン、クラリスにはずいぶんと入れ込んだ時期があります(でも、これはキャラに恋してる状態で「萌え」とはちょっと違う気がしますけど)。

 そんな私ですが、私自身は心の中で「かわええええええええっ!!!」と思わず叫んでしまう画を「萌え絵」と呼んでいます。そんな私の嗜好にピッタリの萌え絵を描く、お気に入りの絵師さんが何人かいるのですが、その画に共通項があるのに気がついたのです。それがこの「シズル感」です。

 シズル感・・・聞いたことがある方も多いかと思いますが、実はこれは広告業界用語で「美味しそうな感じ」という意味で使われています。「シズル」とは「ジュージュー」という意味の英語で、ファミレスの「シズラー」の語源でもあります。料理写真を撮影するとき美味しそうな感じを出すために、肉の表面に油を塗ったり、霧吹きで水滴をつけたりするのですが、それを「シズル感を出す」とか「シズル感が足りない」とかいうのです。現在では拡大解釈されて「(ヨダレが出そうなくらい)そそる・そそられる」というニュアンスであればなんでも使います。「このモデル、シズルが足んないな」とか「もっとシズル感のあるコピー書けないの?」とか、現場ではよく飛び交っています(いやですねぇ〜業界ノリって。笑) つまり「そそる・そそられる画」であれば、すなわちそれが「萌え絵」であると言い換えられるのではないかと考えたのです。

 まあ、変態的な言い方をすれば「じゅるっとする画」(笑)ということになるんでしょうけど、イラレで描く画のたいていはドライな印象なので、この「じゅるっ」というウェットな印象の画にするには、かなりのテクニックと方法論が必要になります。このことが以前書いた「イラレは萌え絵に向かない」と判断する大きな理由なのですが、逆に言えばまだまだ未開の領域だとも言えます。それにドライな物質であるはずのセル画やフィギュア、ドールにも「萌え」は存在するわけですから、可能性はゼロではありません。私の技量とセンスでどこまでその「じゅるっ」を表現できるか?という問題はありますが、今後も「じゅるっ」を求めてイラレで萌え絵を描くという挑戦を続けていきたいと思っています(ああ、やっぱり変態的な記事になってしまった。笑)。