miku
どんな感じで再生されるのか知りたかったので、一応イラレで参加してみました。psdデータはこちらでjpgに変換、aiデータはAcrobat Reader DCで開けますので、わざわざPhotoshopやIllustratorをインストールする必要はありません。アマチュアユーザーはSAIやクリスタでこの企画を楽しんで、終わったらAdobeのことはキレイさっぱりと忘れてしまいましょう!!(笑)




 今年の8月30日で初音ミク発売10周年だそうです。早いものですね。発売元のクリプトン・フューチャー・メディア社については、さまざなトラブル(「アッコにおまかせ!」騒動とか)もありましたが、クリエーター第一主義な発想と、それを支える膨大なアマチュアクリエーターの自発的なコミュニティを後押しするという姿勢はかなり評価できるのではないか、と思っています。クリエーター第一主義なのはクリプトン社が発売する商品が一般消費者向けではなく、かなり専門性が高いクリエーター向け(私も『初音ミク』と『巡音ルカ』を所有し、DTMを楽しんでいるユーザーの一人ですが、ボカロを使いこなすには最低限の音楽理論の理解が必要です)であるために当然といえば当然ですが、それを「当然のように無視」する会社が存在します。

 それは、業界のデファクト・スタンダードなのをいいことに傲慢に振る舞うグラフィック・プリケーション界の巨人、Adobe社です。そのAdobeによるミクさん発売10周年記念企画『MIKU DANCING FES.』ですが、この企画の意図はアマチュアクリエーターがほとんどのピアプロ(私もこのコミュニティの一員です)と組んで、一人でも多くのアマチュア絵師をPhotoshopやIllustratorユーザーに仕立て上げようというもののようです。特設サイトに行けばわかりますが、支給ファイルはpsdとai(汎用性の高いjpgやpdfで支給しないところがいかにもAdobe。笑)とし、試用版のインストールを必須かのように記載して、試用期間(以前は1ヶ月でしたが現在は一週間。しかもサイトにはその旨を記載しないという悪どさ。笑)が過ぎれば課金を促されるというトラップを仕掛けています。まあ、この型紙をダウンロードしてイラストを描き、透過pngファイルで書き出すスキルのある人は、もうすでにAdobe製品を持っているか、代替アプリが使えることぐらい先刻ご承知のユーザーばかりでしょうから、Adobeが目論む「新規アマチュアユーザーの獲得」には1mmも貢献しないでしょうね(笑)。

 Adobeが真摯にアマチュアのことを考え、ユーザーになって欲しいと考えるのなら、答えは以下の2つしかありません。

(1)IllustratorにPhotoshopと同じく買取方式の廉価版(Elements)を用意する

(2)Photoshop ElementsでCMYKも扱えるようにする


 アマチュアユーザーの間にPhotoshopやIllustratorの普及が進まない理由は、「ライセンス方式の課金が高額」という理由以外にありません。Photoshopは代替アプリがたくさんありますが、Illustratorは代替アプリが実質的には存在せず、しかも廉価版もありません。「Illustrator Elements」(テキスト機能を大幅に制限するなどすれば可能なはず)をPhotoshop Elementsと同額の14,800円で発売し、多くのアマチュア絵師を悩ませているRGB→CMYK変換機能(これは非常に優秀。色のくすみを最小限に抑えられる)をPhotoshop Elementsに搭載する。これだけでアマチュアユーザーが格段に増えることでしょう。しかしAdobeはこのようにアマチュアに価格面や機能面で譲歩せず、「我が社の素晴らしいソフトを使いたければアマチュアもプロと同じ金額を払え!」というのです(学生や教職員にはアカデミック版が用意されています)。我々プロはAdobeのソフトを使い続けることによって利益をあげることができますので、CCによるライセンス課金には従う余地はあります。しかしアマチュアはそうではありません。基本的に経費は「持ち出し」となるアマチュアに、インストールしておくだけでお金がかかるライセンス課金を強いるのは「強欲だ」と言われても仕方ありません。

 アマチュアはアマチュアでSAIやクリスタを使い、安価に工夫してやっているのが現状です。「イラレやフォトショを使いたいけど高くて手が出ない!」という悲痛な叫びもよく目にします。その「叫び」を逆撫でするかのようにミクさんを使ってアマチュアに擦り寄り、自社ソフトのインストールが必須であるかのように装って、しかもその試用版はたった一週間しか無償で使えないことも明記しないAdobeの姿は、大企業とは思えないほど「セコく」「イヤラしく」「キモチワルイ」だけです。その「キモチワルサ」さえ自覚できていないAdobeという会社には辟易してしまいますが、結局それは会社の体質を体現していると言っていいでしょう。すなわち「傲慢」ということですね(Adobeがいかに傲慢か知りたい方はこちらの記事もどうぞ)。