101e006b
表紙のイラストを見て、描き方が想像できるレベルの人は特に読む必要はないでしょう。




 2002年初版と、もう15年も前の本になりますが、おそらくイラレで美少女(キャラクター)を描くハウツー本としては最も初期に当たるものではないでしょうか。イラレのバージョンも8〜9ですし、見本のイラストも90年代を彷彿とさせます。ですが、この分野の嚆矢を告げる本として紹介するべきだと思い、今回記事にいたしました。

 この本で紹介されている描き方は、初級編・中級編・上級編の違いはあっても、以下の方法を基本にしています。

(1)下絵の主線をペンツールでトレース
(2)「線」を「面」にするためパスをアウトラインに変換
(3)パスファインダーで主線をすべて合体
(4)複合パスを解除し、主線の内側のオブジェクトに色を入れていく
(5)色のオブジェクトに陰をオブジェクトを作り、パスファインダで切り取っていく
(6)それを繰り返して完成

※目は単純にアウトラインをなぞる方法を紹介しています

あとはレイヤーの構成をどうするのか、陰の段数をどこまで増やすか、主線の「入り・抜き」をどこまで表現するかなどの描きこみの程度によります。おそらく、こういったアニメ・マンガ的な強い主線を持つイラストは、CC時代の現在もほぼこの方法と変わらないでしょう。

 ただ、私はこの方法を採用していません。それは以下の弱点があるからです。

・主線に隙間の空いた表現ができない
・主線ごとに違う色の指定ができない

例えば口ですが、この方法だと「O」としか口を描けません。口の主線を「C」にしたくても、主線がオープンパスなので「C」の内側に色を入れられないのです。その場合は主線とは別に色のオブジェクトをつくらなければなりませんが、そうなると上記の「パスファインダ→複合パスの解除で一気に色オブジェクトを作成」というメリットを打ち消してしまいます。私はその対案として以下の方法を採っています。

(1)下絵の主線を(隙間をあけつつ)ペンツールでトレース
(2)主線のレイヤーを複製し、主線レイヤーの下に位置に移動
(3)複製したレイヤーの線を繋げて色用オブジェクトを作成
(4)「入り・抜き」の表現のため、主線に線のアピアランスの「両端閉じ」を適用
(5)(4)の代わりに線幅ツールで微調整しても可

見本:もがみん

これにより、主線に隙間の空いた画を描くことができます。しかも主線は「線」のままなので、部分部分で色を変えたり(もがみんは肌と服とで主線の色を変えています)、太さも形状も後でいくらでも修正が可能です。例えば、「線」にザラザラとした手書きのブラシを適用することによって、手書き風なイラストを作成することもできます。

見本:イラレの画像トレースツール「ラインアート」機能を使って水彩画風のイラストを描く

また、作品イラストはこれらとは全く異なる、私独自の方法で描いています。

作成手順:その1その2

 自分の描きたいイラストのタッチによって、どういう方法論を採用するかは自由ですが、基本である本書の方法は一度は試してみるべきだと思います。ただ、イラレの機能の説明は巻末の付録程度なので、イラレ初心者はまずそこをクリアにする必要があります。そういう意味では中級者以上向けの本と言えるでしょう。


Illustratorキャラクター制作テクニック―ベジェ曲線で描く美少女イラスト制作テクニック集 (I/O別冊)