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渋谷のHMV & BOOKSの一角にちょこんと展示されている感じ。「魔女の宅急便篇」は10月31日まで、「ハイジ篇」は11月1日から7日まで。




 現在渋谷のHMV & BOOKSで開催中の『窪之内英策 原画展』に行ってきましたのでその感想などを。

 窪之内 英策といえば『ツルモク独身寮』で有名な漫画家ですが、私は最近までイラストレーターをされていることを知りませんでした。それを知ったきっかけはこのまとめサイトですが、「超久しぶりにイラスト描いてみたいなあ」などとぼんやり考えていた私に、「こんな素敵な画を描いてみたい!」と刺激を与えてくれたのが氏の存在です(私はアナログは下手すぎて断念してしまいましたが。笑)。デザイナーにとってカンプ用マーカーとして馴染みのあった「コピック」を使用していたのも驚きでしたが、その辺りについては以前こちらで記事にしました。

 で、感想ですが、氏の鉛筆から生まれる生き生きとした「体温を感じる」キャラクターたちを存分の堪能して来ました。特に女の子は思わず抱きしめたくなる繊細さと快活さを同時に感じさせる、氏独自の「タッチ」と「キャラクターデザイン」はとても素晴らしかったです。

 技術的なことにももちろん興味がありましたので、つぶさに観察してきました。まず鉛筆の線が薄く、硬いのに驚きました。おそらく2Hくらい?の鉛筆ではないでしょうか。にもかかわらず描き出したタッチはとても柔らかく、色気さえ感じさせます。紙は模造紙でしょうか? 目がほとんど見えない薄い紙です。私はてっきりワトソンのイラストボードなどを使っているのだと思っていました。コピックに至ってはどうすればこんなにムラなく正確に塗れるのかさっぱりわかりません。はみ出しは即アウトのはずですので、コピックを使ったことがある人ならその技術の高さ、正確さに驚くはずです。

 指示のコメントも丁寧で読みやすくキレイ。こういった表に出てこない部分さえ手を抜かない丁寧さは、仕事に対する氏のスタンスが伺えて興味深いです。昔、デザイン事務所の社長さんと「どんな子を採用したいと思うか」という話になった時、「持って来たポートフォリオがきちっと整理され、レイアウトされている子」という話を思い出しました。「制作したものだけでなく、その周辺の部分まで気を配れるか否か」ということだと思いますが、そんなことをぼんやりと思い出しました。

 デジタルでイラストを描くのが当たり前になった現在ですが、アナログにしか出せない魅力は依然としてあります。それにデジタルでは「原画」というものが存在しませんので、アナログイラスト作家でなければ原画を直接見る機会はなかなかありません。印刷やモニタではわからない原画の良さは、以前いがらしゆみこ美術館に行った時にも感じました。「アナログ? 俺には関係ないや」と考えるデジ絵師にとっても参考になる部分はたくさんあると思います。会期は短いですが無料ですし、ぜひ一度足を運んでみることをおすすめいたします。