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何人かの「主婦兼クリエーター」さんと仕事してみて思うのは、「母は強し」の一言に尽きますね。(※写真はイメージです。写真提供:FreeBackPhoto




 おそらく、フリーランスでイラストレーターをされている方の中の、一定のパーセンテージでこの「主婦兼イラストレーター」という方は存在しているんだと思います。つまり主婦業の傍ら、プロのイラストレーターとして業務を請け負っている方のことです。基本的には、寿退社などで業界の第一線を退いた女性イラストレーターが子供を授かる前か、もしくは子育てなどが一段落した段階で復帰するパターンが多いんだろうと思います。こういった主婦の副収入としての手段として、在宅で仕事ができるのが最大のメリット(もちろん多少は打ち合わせなどで外出しなければなりませんが)で、年間数百万も稼げれば旦那の収入と合わせてかなり生活が楽になります。これはイラストレーターだけではなく、(グラフィック・WEB)デザイナー、DTPオペレーター、コピーライター、取材ライター、コーディネーター、プランナー、カメラマンなども主婦を兼業されている方は数多くいらっしゃいますし、私も何人も知っています。

 業務を発注する側からすれば、5年〜10年くらいの業界経験がわるわけですし、専業の方よりも安く請け負っていただけるので非常にありがたい存在です。ただ、子育ての真っ最中である方も多く、突発的な事態に対応できなかったり、拘束時間が長い仕事は無理強いできないなどのデメリットもあります。それに専業にされている方よりどうしても量をこなせないので、ケース・バイ・ケースで専業か兼業か発注先を振り分けるのが常識になっています。

 あまり知られていませんが、実はこの「主婦兼イラストレーター」の存在こそ、専業イラストレーターにとって最大のライバルにしてやっかいな存在です。この記事で取り上げたTV番組に登場したイラストレーターは業界未経験の素人主婦ですから、基本的には業界から仕事のオファーが来ることはまずありません。しかし、ここで言う「主婦兼イラストレーター」とは、業界の第一線でバリバリと仕事をしてきた人たちで、当然ですが業界の事情にも専門知識にも通じ、仕事を得る人脈も持っています。つまり専業イラストレーターとほぼ同じ土俵、ということになります。しかも収入の柱は別にあるので生活をかけなくてもいいという気楽さもあります。であれば、生活がかかっている専業イラストレーターは主婦兼イラストレーターと競合しないためにも、より高い、もしくは違う土俵にシフトしなければならないということになります。

 この傾向は今後ますます強まると予想されます。こんな時代に専業イラストレーターが生き残る方法はあまり多くないと考えます。厳しいですがこれが現実なのです。