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「好きこそものの上手なれ」は真理ですが、それが「向いていないもの」であれば伸び代は少なく、すぐに限界は見えて来ます。それを自覚せずに仕事に選んでしまったら、結局それは「苦痛」でしかありません。「向いていないけど好きなこと」は趣味で行うべきだと私は考えます。(写真提供:FreeBackPhoto




 文字にしてしまえば「そんなの明確に違うしょ!」みたいな話ですが、将来クリエイティブ(創作)系の仕事に就きたいと考えている方にとって、この2つの見極めを誤ると人生に於いて大回りを強いられる結果になりかねません。以下は私の個人的な経験でしかありませんが、参考になれば幸いです。

 私は物心ついてからずっと創作活動をしてきたことは以前「創作活動を辞められる人、辞められない人」という記事で説明しましたが、その創作は大きく分ければ2つのジャンルに分けられます。すなわち「絵」と「音楽」です。「絵」について言えば、子供の頃からお絵描きばかりしていたようで、古い記憶を辿ると、あまりにも私が絵を描いてばかりなので、見かねた母親が私専用のお絵かき用紙(チラシの裏とかカレンダーの裏とか)を集めて押入れの片隅にストックしておいてくれていたことです。それぐらい私にとって「絵を描く」という行為は自発的で自然であった、ということでしょう。一方の「音楽」ですが、小学校の授業で初めて音楽に本格的に触れた際、楽譜が全く理解できず(感覚的に知識として入ってこない)はっきり言って嫌いでした。それが中学生の時にギターを覚えてから音楽活動にのめり込み、オリジナル曲の制作や発表、アマチュアバンドでライブハウスに出演するまでに至りました。

 結果だけ見ればどちらも「好き」でやっていることなので、他人から見れば同じに見えますが、本人にとっては大きな違いがあります。すなわち「向いているか・向いていないか」ということです。私自身は「音楽」で身を立てようと考えたことは一度もありません。それは音楽にのめり込めばのめり込むほど「音楽のキモ」がどうしても感覚的に理解できない、というジレンマに悩まされていたからです。一方の「絵」ですが、これは「絵のキモを感覚的に理解できる」と言い切っていいものだと思います。事実、私は職種としてデザイナー以外は経験したことがありません(アルバイト経験も1ヶ月間の郵便配達のみ)し、(美少女)イラスト描きを再開して2年経った現在でも「まだまだ上手くなれる」という実感があります。つまり、この経験から導き出される結論は、「絵」も「音楽」も「好き」だけど、「絵は自分に向いてるが、音楽は自分には向いていない」と言えるでしょう。

 子供が自分の将来の職業を考える時、この「向いている・向いていない」と「好き・嫌い」を混同して語りがちです。例えば「ケーキが大好きなので将来はケーキ屋さん」と答える子供はその典型例です。もちろん大人になればその違いを明確に理解し、「向いている・向いていない」を優先して職業選択をするのですが、昨今の若者事情を鑑みるに、どうもこの「向いている・向いていない」と「好き・嫌い」を明確に分けて考えることができていないんじゃないか、と感じることが多々あります。もちろん趣味で絵を描く分には全く問題ありませんが、職業となると話は違ってきます。何事にも言えることですが、まずは「自分自身のありようを正しく理解する」ことは大人としての最低要件です。これができずして「夢を語る」のは「夢」ではなく、「単なる幻想」と断言してもいいと思います。

 ここをご覧になってる「自分はイラストを描くの好きだから、将来はイラストレーターになりたいな」と考えている方。果たしてその考えが「好き・嫌い」から来ているものか、「向いている・向いていない」から来ているものか、一度冷静になって自分自身に問うてみることをおすすめいたします。