
このコンパクトさに憧れた方も多かったはず。
1997年、Cometのコードネームで知られた「PowerBook2400シリーズ」は、本当の意味でのApple初の「モバイル(サブ)ノートパソコン」でした。スペックは W266×D213×H47mmで1.98kg、お値段はなんと438,000円!今では考えられない価格ですが、それでも飛ぶように売れたのは、Appleが販売していたノートPCで、モバイル環境で実用になる機種はこれしかなかったからです。(例えば上位機種のPowerBook 3400cは W293mm×D240×H66mm、3.2Kgで、とても気軽に持ち歩けるものではなかった)
当時のAppleの考え方は「少々大きくても重くてもノートパソコンには最高の性能を求める、移動は車なのだからそれらは問題にならない」といういかにもアメリカ的発想で商品開発をしていました。そんな中、日本市場向けに日本IBMと共同で開発したのがこのPowerBook2400です。電車移動の多い日本のユーザーが待ち望んだ、重さ2kgを切るまさに「モバイルパソコン」でした。
しかし搭載CPUはG3より格段にスペックの劣るPowerPC603e、これではデザイン業務では全くのパワー不足です。残念ながら発売当初は見送るしかなかったのですが、後年G3アップグレードカードが登場し、マニアの間でG3へ載せ換える改造が大流行しました。それも落ち着いた2000年頃、手頃な価格で2400c/240(G3改)がヤフオクに出品されているのを発見、状態も申し分無い事から12万円で落札しました。
しかし、ネットで事前に知ってはいたものの、G3カードの発熱はすさまじいものでした。バッテリーは既に寿命だったのでほとんどACアダプタでの使用でしたが、ものの30分もしない内に裏面上部がものすごい熱を帯びてきます。そのまま使い続ければ熱で基盤に悪影響が出るのは明白です。外出先で使用できるかどうかの検証のため、近所のファミレスで試験運用してみましたが、その発熱とバッテリー寿命から30分と持ちません。しかもモニタも800×600ピクセルでは業務では実用的とは言えず、結局再びオークションで売却する事になったのです。
携帯性と性能が一致し、本当の意味での「初のモバイルデザイナー向けノートPC」と言えるのは2001年に発売されたPowerBook G4 Titaniumだと思います。しかし、お値段は359,800円。PowerBook2400より安くなったとは言え、気軽に手が出せる価格ではありません。また、その頃のネット環境はまだまだ貧弱で、数百MBのデータを実用的にやりとりするのは不可能でした。その後CPUがPowerPCからintelに変更されたのに伴い、2006年にPowerBookシリーズはMacBookシリーズへと改変。この頃やっと価格が20万円を切るようになり、携帯性と性能と価格が揃ったという印象です。ネット環境もかなり改善されました。つまりMacBookが発売になった2006年が「モバイルデザイナー元年」と言えるかもしれませんね。
使用期間:2000年10月の一週間程度