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 私は個人で仕事をしていますので、PCのトラブルにはどうしても敏感になります。ですので、メインマシンの他に予備として必ずもう一台Macを常備しているのですが、サブマシンは予算や設置スペースの都合からノートPCを選択せざるを得ません。しかもAdobe系アプリケーションが実用的に動くだけのスペックが必要です。そしてそれは当時、「PowerPC G3を積んでいる」というのが最低条件でした。私が最初に手にしたのはCPUをG3化した「PowerBook 2400c」でしたが、これは実用になりませんでした。そして次策として手に入れたのがこの「PowerBook G3 Kanga」です。

 このKanga、当時「座布団」と呼ばれていた高額ハイスペックマシン「PowerBook G3」ではなく、「PowerBook 3400の筐体にG3チップを乗せただけのもの」と不評だった機種です。そのためかオークションでも人気がなく、他機種に比べて安価に入手することができました。そんな不人気機種のKangaでしたが、Adobeアプリは実用レベルでなんとか動くし、DockにはMOドライブをドッキングできるし、液晶モニタ横のスピーカーからはノートパソコンとは思えないレベルの音が再生されるなど、非常に優秀なマシンでした。G3チップによる発熱の高さには困り者でしたが、それは当時のG3搭載ノートに共通する問題でしたのでさして気にしていませんでした。

 そしてこのKangaで私は初めて「デジタル波形編集」を行いました。フリーソフトの「Audacity」を使って当時参加していたアマチュアバンドの練習テープ(練習スタジオでカセットテープに録音した音源)をデジタル化。ノイズ除去やベストテイクの切り貼りをしてデモ音源を制作し、それをCDに焼いてライブ会場で手売りしていました。当時のアマチュアバンド界隈では「スタジオライブの一発録りをカセットテープにダビングしてそれを手売り」が一般的でしたので、対バンした他のバンドメンバーからはずいぶんと驚かれたものです。まあそれから数年のうちにCDデモが一般化するんですけどね。私がボーカロイドによるDTMをすんなりと始められたのは、この経験があったのも大きかったと思います。

 肝心の業務ですが、当時メインマシンとして使用していたPower Macintosh 7600が非常に優秀で、全くのノートラブルでしたので、このKangaに非常用としての出番はありませんでした。普段は妻がネットやメールに使用していましたので、結局使用頻度としてはそれが一番多かった、というオチになります(笑)。でも、いまだに「いいマシンだったなあ」と思い出せるMacの筆頭がこのKangaです。妻も過去のMacで一番印象に残っていると話しています。かといって再度所有したいとは思いませんが。もし現在も所有している方がいらっしゃいましたら、大切に可愛がってあげてください。

所有期間:2001年初め頃〜2005年6月