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スマホは何でもできる万能デバイスですが、なんでもできるがゆえに個々の機能のスペックは、それ専用の機器より落ちるという現実は理解しておくべき。photo:pixabay

 ここで言う「負け組」とは、経済的な良し悪しという意味でなく、「いかに自分の資質にあった人生を送れるか」ということです。経済的に恵まれていなくても充実した人生を送っている人はたくさんいます。そもそも自分の資質にあった人生を送っていないから仕事も長続きせず、間違った人間関係に陥り、間違った相手を伴侶に迎え、その結果「負け組」に堕ちるということになると考えています。ですので、世間でいう「負け組=貧困」と考えは、自分の資質にあっていない人生を送っていることにより、貧困に陥りやすい環境になってしまう、という意味で考えるべきです。

 「いかに自分の資質にあった人生を送れるか」は、「いかに多くの情報を集め、それを正確に処理し、最終的な正しい判断に自分を導けるか」ということだと思うのですが、そんなことはスマホよりPCの方が優れている点を挙げればすぐに理解できます。

(1)情報を表示するモニタの面積が大きいのでより多くの情報を比較検討しやすい

(2)操作性がスマホより高いので、より深いレベルでの情報にアクセスしやすい

(3)アプリに依存しないので、そのアプリによる恣意的な情報の偏向に影響されにくい


 私はTwitterやインスタさえPC(ブラウザ)を使うのですが、それは上記の理由だからです。たまにTwitterで「そんな簡単なことも調べられないの?」「そんなことも理解できないの?」というツイートを目にすることがあります。それが「スマホで情報収集しているから」という理由に思い当たるまで少々時間を要しました。プロフィール欄を見ると、どうやら若い世代に多いように感じます。つまり彼ら・彼女らは「世の中の狭い範囲しか見ることができていない」のです。もう少し丁寧に言えば、「社会を見る装置としてスマホは狭い範囲しか見渡せず、無理して広い範囲を見るためには操作性・視認性が悪くなり、結局狭い範囲しか見なくなってしまう」ということになります。

 逆にPCよりスマホの方が優れている点も挙げてみます。

(4)携帯性に優れる

(5)PCは取得にお金がかかり、ランニングコストも余計にかかる


 まあ、経済的にPCを買って、ネット回線を自宅(自室)に引けないなどの理由があるのかもしれませんが、スマホに生活の全てを依存する人は、情報収集能力、情報分析能力、判断力、創造力、効率、生産性など、生きていくために必要とされるスキルの全てが、PCも併用する人と比べれば劣ってしまうでしょう。例えば、就活中の大学生を考えてみても、スマホとPCでは情報収集能力や情報分析能力が異なりますので、そこから導かれる判断にも差が出てしまう可能性があります。つまり「就活に失敗しやすくなる」ということです。

 それは就活だけに限らず、この情報化社会を生きていく上で、スマホしか持っていないというのはそれだけで「ハンデ」になると言えるでしょう(タブレットはスマホより多少マシ、という程度問題でしかないでしょう)。それを避けるためにはPCとネット環境を親が子供に与えるべきだと思いますが、年齢で言えば高校卒業後、遅くても就活を始める時期にはPCを与えないと、それだけで「負け組」へ堕ちる、すなわち「自分の資質にあった人生を送れない危険性が増す」と思っています。もちろんPCとネット環境さえあれば万々歳、という話ではありません。その人の成長には様々な要素が影響します。その一要素(より多くの情報を得、正しい判断する要素)としての「スマホオンリーと、PCとスマホ併用とのリスクの差の話」とご理解ください。

 言うまでもないことですが、スマホしか持っていなくても「自分の資質にあった人生を送っている」という方もいるでしょう。そういう方はスマホ(ネット)以外での情報収集能力に長けているんだと思います。もしくは現実認識や判断力、洞察力に優れているので少ない情報でも正しい判断が下せるのでしょう。そんな「秀でた方」にはこの話は無縁です。こんな記事など気にすることなく、スマホオンリーの生活を送っていただければ良いと思います。ですが世の中、そんな「秀でた方」ばかりではありません。それならば、何も好き好んでスマホオンリーという「ハンデ」を背負うことはありません。たった数万〜十数万の投資です。他の遊興費を削ってでも、PCとネット環境を持つべきだと私は、特に若い世代に対してはそう考えます。将来「負け組」に陥らないためにも。