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テーマは同じ「ハロウィン」ですが、左のカット(イラスト)と右のイラスト(レーション)ではこれだけ意味が違います。photo:pixabay

 また無駄な時間を過ごしてしまった・・・。以前の記事「「いらすとや」で版権フリー&無料配布(条件あり)されているイラストは「イラスト」ではなく「カット」ですよというお話」でも触れましたが、私たち広告業界人が言う所の「イラストレーター」とは「イラスト(レーション)を描く人」という意味であって、「カット(イラスト)」を描く人ではない、ということが理解されていない現状に、ずっと困惑(迷惑)しっぱなしです。「イラストレーターです」と自己紹介されてポートフォリオを拝見させていただくとカットイラストしかなく、「イラスト(レーション)作品はないんですか?」と尋ねると、「こちら(カットイラスト)がそうですか・・・」と応えられてしまうという事例がもう何年も前から何度も繰り返されています。

 正直いいまして、カットイラストレベルなら描ける人はいくらでもいるし、そういう人の多くは「イラストレーター」とは名乗っていません。絵心のあるデザイナーやDTPオペレーターがカットイラストをチャチャッと描く、なんてことはこの業界では日常です。私自身もたまにカットを描くことがありますが、業界内で「イラストレーター」を名乗ったことなどただの一度もありません。それにネット上や書籍のカット集で版権フリーのカットイラストなどいくらでも手に入ります。そういう状況で自称イラストレーター、実質カットイラストしか描けない人から営業されても、仕事を発注(外注)する理由がありません。カットイラストなら内部制作や既存の人脈で間に合ってしまうのです。

 ネットを見ていても、「カットイラストしか描けないのにイラストレーターを名乗ってしまっている人」というのを多く見かけます。もちろんイラスト(レーション)を描ける人はカット(イラスト)も描けるので、そういった方はイラストレーターを名乗っていただいても問題ないのですが、カット(イラスト)しか描けない人がイラストレーターを名乗ってる現状は、いたずらに混乱を招いているだけですし、お互い無駄な時間(ニーズのミスマッチ)を作り出しているに過ぎないのです。

 ですので、カット(イラスト)しか描けない人は「カットイラストレーター」「カット屋」とはっきりと自覚していただいて、間違っても「イラストレーターです」とは、自称しないでいただきたいのです。発注側のデザイナーとしても、この両者の区別をはっきりしていただいていない時点で、発注する気が失せてしまいます。「カット(イラスト)」と「イラスト(レーション)」は全くの別物です。アナログ時代にははっきりと区別されてたこの慣習が、デジタル化によって「イラストレーター」と全て一緒くたにされてしまった経緯は知っていますが、素人さんならともかく、業界に出入りしているような方なら、この区別をはっきりしておかないと、恥をかく上に相手(発注側)をウンザリさせてしまうだけだと私は思います。



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