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微妙に左側の曲線が不自然なハンズの新ロゴ。

 何がどうしてこうなったのか・・・。もうこれは「ハンズ」じゃないですね。

 ベイシアグループに買収された東急ハンズの新ロゴが発表されましたが、あまりの酷さに阿鼻叫喚の様相を呈しています。何が酷いって何もかもが酷いです。ハンズはこだわりの品揃えと専門知識の豊富な店員、そして何よりも都会的イメージの「ハンズらしさ」を売りにしてきました。そしてそれに多くのファンがついていました。その価値を自ら全否定し、捨て去るかのようなこのロゴに、ハンズの未来は完全に潰えたと思って良いでしょう。

 現在のECサイト全盛時代、その「ハンズらしさ」が業績悪化の足かせになっていたのは事実です。ですが、全く利益を生んでいなかったわけではないですし、それが他社との差別化を図れるという強みでもありました。ですのでカインズはその「ハンズらしさ」をより効率化し、洗練する方向性で業績の回復を図るべきでした。腐ってもハンズです。そのブランドイメージはまだまだ健在で、旧ロゴの持つパワーは全国区であり、カインズの知名度をはるかにしのぎます。その旧ロゴを自ら捨ててしまうことは、ヴィトンのバッグのロゴをマジックで塗りつぶすような愚行です。一体経営陣は何を考えているんでしょうか?

 無印良品もプラザもロフトも経営母体は変わりましたが、ロゴとブランドイメージは継続し、見事に復活しました。それは、それぞれが持っていた「らしさ」というブランド価値をよく理解していたからです。ところがカインズは真逆の方向に舵を切りました。「ハンズらしさ」を全否定した新ロゴが、新たな「らしさ」を獲得するまで一体どれくらいの年月が必要になるでしょうか?その間業績の悪いハンズを維持できるのでしょうか?答えはノーだと私は思います。

 ブランドイメージが下の企業が、上の企業を買収した例は数多ありますが、その買収額のかなりの割合を締めるであろうブランド価値を、ブランドイメージが下の企業が自らの手で葬り去った例は聞いたことがありません。地方に出店する際、旧ロゴと新ロゴとでは、どちらが集客に有利か?そんなことは小学生でもわかる話です。

 残念ながらカインズには全国区の知名度はありません。そのいち「ローカルブランド」に成り下がったハンズにわざわざ足を運ぶ客がどれだけいるのでしょう?客は商品や品揃えだけで店を選んでいるわけではありません。「ハンズがある街=都会」というイメージは、東急ハンズが長い間積み上げてきたブランドイメージです。「その価値を我々は全く理解していません」と言わんばかりの今回のこのロゴ改悪で、旧来のファンは離れ、新規客は足を運ばないでしょう。銀座店や新宿店(高島屋の入るビルの側面にこの新ロゴが掲げられる姿を想像してみてください)の撤退も、旗艦店である渋谷店の消滅も時間の問題だと私は思います。

 ついでに言えば、新ロゴは曲線のカーブが不自然です。イラレユーザーならパスのハンドルを動かすか、アンカーポイントの位置を変えたくなります。微調整をしきれていないのが丸わかりのこの新ロゴ見るたびに、「イラっ」とするデザイナーさんは多いのではないでしょうか(笑)?



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