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Adobe Illustratorの「フォント検索」機能を使えば、ドキュメント上のフォントを簡単に置き換えられます。

 モリサワがモリサワパスポートを廃止し、Morisawa Fontsに移行するということは以前こちらで記事にしましたが、そんなモリサワの思惑(実質値上げ)に振り回されたくないユーザーを中心に、既に「脱モリサワ」の動きは始まっています。その移行先の中心はやはり「Adobe Fonts」と「Google Fonts」になると思います。一方私の状況はというと、最近某メインクライアントから「指定フォントがGoogleが提供している某フォントに決定しました」という通達が届きました。それ以前からモリサワフォントを使う頻度は下がり続けていたのですが、この通達を機にモリサワパスポートの管理アプリケーションを立ち上げて、思い切ってすべてのモリサワフォントをアンインストールしてみました。

 それから約一ヶ月が経過しましたが、大きな問題は起こっていません。Adobe Illustratorにはフォントを置き換える機能が付いています。それを使ってモリサワフォントに似たAdobe FontsやGoogle Fontsに置き換えたところ、素人目には違いが判断つかないレベルであることが確認できました。つまり、よほど特殊で個性的なフォント以外はモリサワでなくても賄える、ということです。ただ、デザイナーのレベルではモリサワフォントのクオリティにはまだ届いていないな、というのが本音です。ですが、このクオリティなら多少工夫すればモリサワの代替になる、というのもまた事実だと思います。

 個人的な(勝手な)未来予想ですが、Morisawa Fontsへの移行は進まず、モリサワは大幅にユーザーを減らし、他のフォントメーカーがシェアを伸ばすでしょう。その提供方法はGoogle Fontsのような無料配布か、買い切り型の有償配布(モリサワも買い切り型のフォントパックを発売している)、もしくはAdobe Fontsのように他サービスへの加入を条件に無償提供という形が主流になっていくでしょう。すなわち、フォントメーカーが単体のサービスでフォントを有償提供する時代は終わる、ということです。おそらくこの10年以内にはそうなるでしょう。

 残念ですが、このままだとモリサワに未来はありません。確かに出版業界ではまだまだディファクト・スタンダードの地位に揺らぎはありませんが(過去の資産〈データ〉を引き継がなければならないという意味でも)、広告業界では今後一気に「脱モリサワ」が加速するでしょう。そうなれば出版業界もどうなるかわかりません。斜陽と言われて久しい出版界です。モリサワを辞めるだけで年間数十万から百万単位のコスト削減が実現できるのです。無料で利用できるAdobe FontsやGoogle Fontsに飛びつかない理由などないのです。

 私はといえば、今年の年末までモリサワパスポートの契約が残っているので、その期間中にじっくりと検証し、契約継続の可否を判断したいと思います。また、モリサワのどのフォントがAdobe FontsやGoogle Fontsに置き換えられるかは、今後記事にしたいと思います。