
精度は高いが人物は常に似たような傾向が見られる。これじゃ使えない。(引用:パブリックドメインQ)
最近よく見かけるようになった、生成AIによる人物画像ですが、モデルやスタジオを使った撮影がいかにコストや時間がかかるかの問題がある限り、こういった手軽にスマホやパソコンで作れてしまう人物画像に需要が流れていってしまうのではないか?という論調をたまに見かけます。ですが、それはあり得ません。理由はその昔、デジタル黎明期に瞬間最大風速のごとく流行り、あっという間に廃れた「CGイメージ画像」を思い出すからです。
デザイナー的にいつも何かと苦労するのは「イメージ画像をどう作るか?」です。どういった広告にせよ、ビジュアル(写真やイラスト)は必ず必要になってきます。訴求する商品自体がビジュアルに使える(例えば車とか時計とか)なら、それをメインに据えれば事足りますが、サービスの内容からどうしてもイメージ画像に頼らなければならない場合も多々あります。その際、重宝したのが以下のような「CGイメージ画像」です。当時は本当に猫も杓子も使っていました。

CGイメージ画像の例。大昔のCD-ROMから引っ張り出してきました(笑)。
ですが、それも一過性の流行で終わりました。やはり機械(ソフトウェア)が作ったものはどうしても「冷たい印象」から逃れられず、消費者に好印象を与えないからです。どうあがいても血の通った、肌の温もりが感じられる撮影画像には勝てません。広告ビジュアルは「親しみやすさ」が命です。それはCGイメージ画像や生成AI画像には決して生まれ得ないものです。
まあ、その「冷たさ」を生かした広告(ゲームやITとか)には使えるかもしれませんし、実際、CGイメージ画像もそういった用途に多用されていました。現在の生成AI画像もその用途が多いようです。ですが一般的な、例えば恋愛、グルメ、レジャー、ワーキングなどのライフスタイル関連、つまり「生活」に関する分野で生成AI画像が広告のビジュアルに使われることはないでしょう。まさしく「生活感」がないですからね。
もちろん問題視されている著作権云々の懸念は常に付きまといます。それに画像生成ノウハウが広く一般に伝播すればそれだけ生成者が増えるわけで、あっというまのレッドオーシャン化(既にそうなっている?)は免れません。「生成AI画像で一儲け」なんてことにはならず、あまりにも氾濫しすぎた結果、近々にも「生成AI画像?だっさ!」という風潮が一般化するではないでしょうか。そういったことを勘案しても生成AI画像が旧来の写真撮影画像を駆逐してしまう・・・なんてことにはならないと思いますし、そのうちCGイメージ画像のように「過去の遺物化」するのではないかと思っています。